スピードと品質
藤巻さんのブログを読んでいて思い出しましたよ。
スピードと品質の話。
素人の仕事は、スピードを上げると、精度と品質が落ちるものですが、プロの仕事では、適切なスピードは品質を上げますね。
例えば、菌の植え次継ぎ。私も、たまーに、種菌の植え継をやります。それも、500本ぐらいの大量を。シャーレ500枚なら比較的簡単ですが、400gのナメコ用ボトルは、場所も取るし、ふたも開けにくいわで、結構骨の折れるものです。
その昔、もうかれこれ15年以上前、全く素人だった時、500本の植え替えに10時間ぐらいかかっていました。1時間に50本程度ですね。1分間に1本ぐらいの計算です。
それで、コンタミ率は、多いときには2割程度ありました。クリーンベンチ使ってるんですけどね。丁寧に慎重に。どうやればコンタミ率が上がるものかと考えていました。
ある時、江口先生が(当時はまだ博士課程の学生だったな)がやってきて、植え継ぎを手伝ってくれました。私が1時間に50本をふーふー言ってやっているのに、先生は、1時間で300本ほど片付けて颯爽と帰って行きました。
ええ、コンタミは私の方が多かったです(涙)。
その時、気づいたのが、スピードと品質です。
要するに「丁寧にやりゃいいってもんじゃない。そんなのカンケーねぇ」ってことです。むしろ、スピードが速いほうが品質を上げたりする、と。
以来、私は、時計を見ながら作業することを始めました。
処理した本数を時間で割り、単位時間あたりの作業量を測ります。30秒で1本ならば、120本/時、15秒で1本ならば、240本/時ですね。さらに、単位時間あたりの時給を計算して、1本あたりのコストを計算したりします。
時給1200円とすると、120本/時なら10円/本、240本/時なら5円/本です。60本/時ならば、20円/本です。4倍の差がでるわけです。しかも、コストが安いほうが品質が良かったりした日にゃ。
品質が同じならば、かけるコストを如何に下げるか。大学の勉強では求められることはありませんが、社会に出たら別です。
「すげーいいレポートなんだけど、もうそのプロジェクト終わったんだよね」とか、話になりません。
ちょっと話がズレたな(笑)。
反応時間に一定の時間が必要なモノはしょうがありませんが、作業によってはスピードが上がると品質が上がる作業ってのは意外とあると思います。
また、1処理あたりの処理時間を意識して作業すると、いいデータが取れたりすることもあります。
以前、ネズミの血圧計測の話をある人に聞いたことがあります。1匹あたりの計測時間は、カタログには10秒と書いてありますが、実際にやると30分かかることもあるとか。
6匹5群で30匹。10秒で取れれば、300秒=5分で済みますが、平均15分かかってたら、450分=7時間半!!。血圧には、日内変動がありますので、こんなんではデータになりませんね(笑)。
ここにもスピードと品質の問題が潜んでいました。
どうすれば10秒でコンスタントに取れるようになるのか?それこそが、スキルとコツの問題ですね。そして、それを追求することが楽しいと思えるかどうか。これは性格の問題ですが、そのへんがプロになれるか、永遠の素人さんかの違いでしょうね。
そして、企業は、実はこういうコスト意識が徹底している人材を求めているということも、知っていて損はないと思います。
もう一度、実験を見直して見ましょう。面白い発見があるかもよ。