[論文] 卒論に向けて−ソリューションを学ぼう−

 そろそろテーマが決定しつつあるようですね。3年生。
 何人かには話をしましたが、もう一度、私の考える卒論の目的を。確か、前にもどこかで書いたけど・・・。
 結論から言えば、卒論を書くということは、ソリューションを学ぶということだと私は思います。
 ソリューションとは、「問題解決能力」。
 私は、ある先生に言われました。「博士号を持っているということは、研究者としてのマナーを知っている、という証明書みたいなもの。持っているからといって意味のある研究実績があることを意味はしない。」
 つまり、私の言葉で言う、運転免許証ということですね。運転免許証は、「あなたは、公道(もしかしたら人を殺すこともあるかもしれない責任のある場所)を、自分一人で走ってもいいですよ」ということを意味するものです。持っているからといって、上手に車を操れるようになったことは意味しません。だから、初心者マークがあるんだけど、1年ぐらいで上手くはならないよね。
 さて、横道にそれましたが、博士号でさえ、研究の運転免許証なわけですよ。ということは、卒論で求められるのは、ま、仮免許前のシミュレータに乗るようなものです。研究という分野の、基本的なルールを一応頭で理解するということです。
 その基本的なルールというか、課題が、ソリューションなわけですね。
 つまり、あるテーマを自分で、あるいは上司から与えられて、その解決法を調査し考え、具体的な解決策を設定して、実際にそれをやってみて、その結果について、第三者にわかるような報告書という形でまとめる。
 別の言葉で言えば、Plan Do See のステップと方法論を学ぶということです。
 そこでは、さまざまな能力が求められますね。
 例えば、調査する能力。
 卒論においては、文献検索が主たるものですが、検索するだけではなく、それを適切に解釈し、整理する技術が必要になりますね。近年、データベースが発達し、検索だけなら、ものの5分で、100や200の文献を探し出すことは可能です。しかし、大事なことは、その中から適切な文献を選択する目を養わなければならないこと、さらに、それが英文であれば、英語の読解力も必要です。また、整理についても、手作業でえっちらおっちらやっていては、あっというまに時間が過ぎてしまいます。
 解決策、つまり、実験計画は、文献検索よりある意味で簡単ですね。適切な文献を見つけたら、それについて、先輩や先生とディスカッションすれば、どんな実験をやればいいかは、比較的簡単に見つかります。実際問題として、全く新しい実験手法を行うことは、非常に稀ですから、誰かが過去にやった実験方法をマネすればいいわけです。もちろん、使う材料が違ってくると思うので、論文に書いてある実験方法を改変する必要もあるでしょう。
 さて、次は、Do、つまり実際の実験です。どんなに精緻な実験計画を立ててみても、所詮は机上の空論。現場は、そんなに生易しいものではありません。参考論文通りにデータが出ればいいですが、大抵は出てくれませんね。で、再試験とか、方法の再考などを強いられます。
 これがいいんですね。体を動かして実際にやってみる。そして、直面した問題を、ある時は一人で、ある時は、周りの人々の知識を動員して解決方向をさぐる。まさに、ソリューション=問題解決ですね。
 だから、実験に入るのは、余裕を持って、早めに入る心構えをしておいたほうが良いです。
 さて、データが出たら、それをまとめなければなりません。卒業論文の執筆ですね。
 これ、意外と難物ですよ。自分の貧困なボキャブラリーを駆使して、なれない論文口調で書かなければならないわけです。細かな、作成上のレギュレーションもあります。ま、それについては、また別の稿で書きましょう。
 とにかく、みなさんやっと会場に入れた陸上選手みたいなもんです。これからスタートラインまで、送れずに走ってください。卒業論文は、100m送なみに短いですから、ぼーっとしていると、やれ実習だ、やれテストだ、とか言ってるうちに、締め切りがやってきます。

 だから・・・

 大事なことはテーマではなく、内容なのです。テーマに悩んでいる学生は、あまり考えないで、えいや!で決めて、さっさと作業に入った方がいいと思いますよ。



 この文章を読んだ人に、いいことを教えてあげましょう。
 来年までのスケジュールを今作るんです。エクセルあたりがいいかな?ちゃんと曜日もいれてくださいよ。具体的なことは、メッセで話しかけてくれれば教えてあげます。
 まずは、みんながんばってね。わからないことは、遠慮なく回りに聞く。これも、ソリューションに求められるスキルですよ。