臨機応変

 というわけで、薬草園のハウス群の建方が完了したようです。あとは、電気設備工事と配管工事ですね。
 さて、今回のハウス改造工事は示唆に富むポイントがいくつかありました。それは、「スタートとゴール」という命題です。
 今回の改造のメインは、棚の設置とオートクレーブの据付および、オートクレーブ周りの防火シートの内装工事でした。んが、いざ親方が到着してみると、件のオートクレーブはレベル(地面の平行)も取られないまま、無造作に設置してありました。しかも、ハウスの高さが低いために、左右に動かすこともできず、なんと扉も開かない(笑)。
 ハウスを建てたのは地元の造園業者らしいですが、これは、仕事とは言えませんね。どのような打ち合わせが行われたのかは不明ですが、仮に打ち合わせが不十分であっても、建てる前に、この部屋で何が行われるかは、建てる側は想像しなければなりません。大きな「扉」のついた機械が置いてあるということは、当然「扉が開く」ことが容易に想像できます。それが想像できれば、扉の可動域はどこなのか?ということが想像できるわけで、元々建っていたハウスを建てれば、開かなくなるということはすぐにわかります。であるならば、その時点で、何らかの対策を立てなければ、仕事を引き受けたとは言えないでしょう。使えないものをとりあえず建てたからといって、お金を貰ってはいけません。結論から言うと、ここで業者は、工事をストップして、対策を施主側と相談すべきした。地面を掘り下げるとか、ハウスの高さを変えるとかの相談ですね。
 さて、それがなされずに、使えないハウスを前にした青木土木ですが、ここからが腕の見せ所ですね。考えられる方法はいくつかありますが、結論は、ハウスの足を継ぎ足して、高さを上げるということでした。ここで、想定外の仕事が増えたのでした。結果は、現場を見てもらえばわかりますが、非常に丁寧な仕事が施してあります。
 この結論に至るには、非常に短い時間ですが、ゴール、すなわち、オートクレーブを使えるようにする、という命題に対して、最短かつ、最善、すなわち使いやすい設置方向にする、というパラメータを勘案して出されたものです。ゴールが決定すれば、あとは、工程と部材を考えるだけです。仕事の流れを考えて部材を発注。ま、文章にすると簡単に見えますが、これをスムーズに進めるには、なかなか難しいものがあります。だって、結論から最終完成まで、3日ですからね。ま、それをおこなうのが仕事というわけです。
 ここで必要とされるスキルは、臨機応変でしょうか。例えば、実験を進めていて、思いどおりのプロセスを得られない場合があります。しかし、そこで立ち止まらないで、どうすればゴールに走り続けられるか、を考える。また、演繹的思考というものも学べますね。例えば、工程管理。学生のみなさんの、次のゴールは、8/7〜8の木材学会ですね。しかし、講演要旨は、確か、6月末には出さねばなりません。ということは、データの解析を含めて、5月ぐらいまでには、ある程度のアタリをつけておかないといけないことになります。ええ、あと2ヶ月ですよ。大丈夫ですか?